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詩と散文、散文と詩・・・拙訳から

* 真 善 美・・・


きみ こころあらば 永久(とわ)に 歓び 忘るるなかれ
こころ 昂ぶることなかれ 高邁なる精神を 抱き
日々 ことに当たりなされ 醜きものの 発露なく
偽りに満てるものの 噴出なく そは 容易ならざるべし


  噫 されど 凛なるかな しばし 口を閉ざし 自己の内部に 
  葛藤の あい昂ぶるを 覚ゑしとき
  強気と弱気は 入り乱れ 充足と不足の 歓びとかなしみの 
  孤独と共生の 矜持(きょうじ)と失念の 物質と精神の 行為と観念の
夢と現実の 狭量と寛大の 非凡と凡庸の 柔軟と硬質の
  肉欲と聖性の 愛と憎悪の 節度と昂奮の 親近と乖離(かいり)の・・
 
噫 凛なるかな かくなる 噛みあはぬ 論理 
  抽象と具象の 狭間(はざま)に あひ乱れ
そは いかに遠く 遙かなること 幾千里か


噫 されど 佇(たたず)むところ 
いかに 肉体が近くに あらうとも 
  こころの ほの温かき握手は なんと かなたなこと
  なんといふ 冷たきその手 骨太で 硬質な その手
  触れると 一気に 凍ゑてしまふやうな その手 


噫 されど 思ひ煩ふなかれ 
未来に 扉は 開かれてあるゆゑに !!
        ***

*蝶は 花に恋をして  ハイネの 詩より

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蝶は 花に恋をして

 花をめぐりて 舞ひやまず

  されど 蝶をめぐりて

やわらかき 光の恋の 漂ひしとき

  薔薇の恋せる そなたは 誰ぞ ?...

      そは 鶯か はたまた 夕べの 明星か

  薔薇が慕へるは 誰か 知らねども

  薔薇よ 光よ 明星よ

さらなる 蝶よ 鶯よ

 われの慕ひし おんみらよ

 

  H. Heine : Der Schmetterling

    

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